2022年度運動方針
I. 生保産業の社会的使命の達成
1. お客さまの負託に応える生保産業をつくる
(1) 経営の健全性向上の取組み
組合員一人ひとりが自らの会社や仕事により一層の誇りをもち、将来への希望をもって働くことのできる産業・企業としていくため、総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として「経営の健全性向上の取組み」を推進する。推進にあたっては、社会に貢献する産業・企業づくりの観点をより強く意識する。
具体的には、労働組合としてコーポレート・ガバナンス(企業統治)の一翼を担う観点から、経営状況や経営計画等を踏まえた各組合のチェック・提言の取組みを推進するとともに、取組み内容・協議状況等について情報交換を行う。情報交換を含め、取組みの推進にあたっては、コロナ禍も相まって多様化・個別化する各社の経営戦略・経営状況、経営方針等を把握し、課題認識の共有をはかる。
とりわけ、コロナ禍や国際情勢等による国内の経済・景気動向、企業業績への影響を注視しつつ、営業活動・働き方の変化等が、各社の事業や業績、組合員の雇用や労働条件に及ぼす影響の把握に努め、必要な対応をはかる。
また、「SDGs(持続可能な開発目標)」や「コーポレートガバナンス・コード」「スチュワードシップ・コード」、「ESG投資(社会的責任投資)」等の社会的要請に対しても、CSR/CSV推進の観点から、組織内の理解浸透をはかるとともに、各組合におけるチェック・提言の取組みを推進する。
加えて、見直しが検討されているソルベンシー規制、社会的要請が高まっている健康経営や環境問題対策等の経営の健全性に関する最新の動向についても注視しつつ、各組合の取組みの支援となるよう、適宜、情報連携を行う。
なお、社会的関心の高いSDGsについては、引き続き生保労連としても、2020年度にとりまとめた「SDGsの視点から見た生保労連の取組みの検証」結果等を踏まえ、SDGsと組合活動との関連性を中心に周知に努め、各組合の取組みを支援する。
ESG投資(社会的責任投資)については、2018年度に確認した「ESG投資に関する生保労連の基本的考え方」を踏まえ、組織内における理解浸透および各組合における具体的な取組みを推進する。
(2) お客さまとともに発展する営業職員体制をめざす取組み
お客さまや地域社会に一層貢献できる営業職員体制を実現するため、「2020年度『営業職員体制に関するプロジェクト』最終報告」(以下、「最終報告」)をベースに、直近の各社の制度改正等の動きも踏まえ、各組合における取組みのフォローや各種の取組みを行う。
具体的には、「主に春闘の中で取り組む課題」と「中長期的な視点も含めて取り組む課題」に整理しつつ取組みを推進する。そのうち、営業職員の社会的イメージの向上については、2021年度における検討をベースに、具体的な取組みについて検討を行う。あわせて、「最終報告」で提言した内容(めざす姿、具体的対策等)について、継続的に組織内外への周知・理解浸透をはかる。
取組みにあたっては、各組合の取組みを後押し・サポートするため、営業職員委員会を中心とした情報交換や各組合への個別支援等を行うとともに、生保協会との労使協議会等を通じた産業労使の共通認識のさらなる醸成や、産業レベルの課題への対応をはかる。
また、募集環境や採用環境等、営業職員体制を取り巻く環境が変化し、オンラインによる活動を柔軟に取り入れたスタイルが常態化しつつある中、新たな活動・働き方の定着・浸透を一層はかる観点から、各組合のニーズを踏まえた情報交換機能の充実をはかり、各社の課題や対応等を共有することで、各組合の労使交渉を支援する。
(3) 産業政策の推進(生保市場の健全な発展をめざす取組み)
① 生命保険に関連する規制改革への対応
銀行等による保険販売について、消費者保護や公平・公正な競争条件の確保といった観点から、引き続き実効性のある規制整備および実態改善に向けて取組みを継続していく。また、銀行窓販を取り巻く情勢等の動向を注視し、状況に応じた的確な対応をはかる。
構成員契約ルールについて、消費者保護および公平・公正な競争条件確保の観点から、その存続に向け、状況に応じた的確な対応をはかる。
② 保険商品の募集・勧誘ルールをめぐる諸動向への対応
生保産業に関する金融審議会の議論の動向等を引き続き注視するとともに、必要に応じて関係各方面への働きかけを行う等、適切な対応をはかる。
また、「顧客本位の業務運営に関する原則」を踏まえた各社の対応や金融行政の動向等を注視し、適宜適切な対応をはかる。
③ 募集代理店運営をめぐる諸動向への対応
生命保険の事業・商品特性等に鑑み、「専業営業職員体制が生保営業の基軸である」とのスタンスの下、営業職員との公平・公正な競争および生保市場の健全な発展の観点から、代理店運営や生命保険協会が2022年度に開始した「乗合代理店の業務品質向上に向けた取組み」の動向を注視するとともに、必要に応じて適切な対応をはかる。
④ 公正な競争条件確保の取組み
かんぽ生命の新規業務取扱いについては、かんぽ生命が2021年5月に日本郵政の保有するかんぽ生命株式を取得したことで届出制に移行したが、引き続き、「民間生命保険会社との公平・公正な競争条件を確保することが大前提であり、『民業圧迫』は決して認められない」とのスタンスを堅持し、国政・行政等における郵政民営化の議論の動向や、日本郵政および金融2社(ゆうちょ銀行・かんぽ生命)の株式売却状況をはじめとする郵政民営化の動向およびかんぽ生命の業績動向、業務改善計画の進捗等を注視し、適切な対応をはかる。加入限度額のさらなる拡大や新規業務の取扱い等、一層の民業圧迫につながるような動きがあれば、支援議員等と連携し、状況に応じた的確な対応をはかる。
イ)各種共済への対応
共済事業全般について、引き続き法制化等の動向やそれぞれの根拠法令に基づき適切な業務運営が行われているかをチェックするとともに、状況に応じた的確な対応をはかる。
また、少額短期保険業者について、引き続き監督体制、規制の適用状況等を注視し、適宜、意見反映等の取組みを行う。
2. 国民が安心できる生活保障をつくる
(1) 国民の生活保障に関する政策提言の取組み
① 社会政策の充実をめざす取組み(税・社会保障に関する政策の策定・提言)
生保労連の「社会保障政策」および「公私ミックス政策」について、「政策集2021」等を活用し、組織内外への理解浸透・拡大をはかる。
また、社会保障制度改革の動向を注視し、ユニオンアドバイザー(UA)や有識者の意見等も参考に、必要に応じ生保労連の生活保障に対する考え方について見直し・補強等を行い、「政策集2023」に反映させる。
あわせて、年金・医療・介護・子育て等に関する連合の諸活動に積極的に参加し、安心できる社会保障制度の実現をめざす。
② 生命保険に関連する税制の充実をめざす取組み
生保労連の令和5年度税制改正要望の実現に向け、関係各方面への働きかけをはじめ、最大限の取組みを行う。取組みにあたっては、生保関連税制を含む税制改革全般について幅広く検討を行い、国民・消費者の一層の理解・共感が得られるよう努める。
(2) 生命保険の事業基盤に関する政策提言の取組み
生命保険の事業基盤や組合員の生活に関連する課題について、「政策集2021」等を活用し、国民・消費者の幅広い理解・共感が得られるよう努める。
また、経済・社会情勢の変化等を踏まえつつ、政策諸課題に関する生保労連の直近の考え方や意見を反映した「政策集2023」を作成・発行する。
さらに、生保協会との労使協議会を通じ、生保産業における諸課題の解決に向け、一層の労使間の連携強化をはかる。
(3) 政策実現に向けた対応
① 国政・行政への意見反映に向けた対応
国政における政策活動の効果的な推進に向け、支援議員との連携を一層強化するとともに、生保労連の政策・要望に理解・協力をいただいている国会議員との関係強化に努める。
また、生保労連の政策実現に向けた支援議員の役割等について、「くらしと生命保険を語る会」や「生保労連の政策を語る会」の開催等を通じ、各組合・組合員への理解拡大に努める。
さらに、組合員を取り巻く環境や現場実態等を踏まえつつ、関係行政との幅広い意見交換に努めるとともに、行政当局によるパブリック・コメントの募集等に適切に対応する。
② 連合の政策への意見反映に向けた対応
経済・金融政策、社会保障政策、税制改革、行政改革、規制改革等、組合員の生活に密接に関連する生保労連の政策課題を中心に、連合の政策に生保労連の政策がより反映されるよう努める。意見反映にあたっては、生保労連の「政策集2021」等を積極的に活用する。
③ 政策諸課題の調査・研究
各産業政策課題に関する状況や、募集現場の実態、問題事例等の把握・収集に努めるとともに、国政、行政、他産業の動向等を注視しつつ、適切な対応を行う。また、必要に応じ考え方の深掘りや、調査・研究を行う。
さらに、社会保障制度改革や私的年金制度、金融政策、税制等に関する動向を注視するとともに、必要に応じて調査・研究を行う。