生保労連(全国生命保険労働組合連合会)は生命保険会社の営業部門・事務部門に働く労働者25万人(19組合)を組織する労働組合です。

生保労連50年の取組み

生保労連50年の取組み

生保労連は結成以来、取り巻く諸環境に応じて様々な取組みを行ってきました。ここでは、結成当時から今日までの生保労連の取組みを年代別に振り返り、労連運動の歴史の一部を紹介します。

専業営業職員制度の確立が産業労使の最重要課題に
-結成時~1970年代-

設置当時の
労使協議会の様子

生保労連結成当時の生保産業は、毎年30~40万人の営業職員を採用する一方で、ほぼ同数が退職する状況にありました。教育体制も十分に整備されておらず、営業職員制度に対する社会的批判が高まっていました。こうした状況を踏まえ、生保労連は結成直後より外野制度(当時)改革に向けて検討を重ね、1973年に「雇用制度改善闘争」を開始しました。

この統一闘争を効果的に進める上で、生保労連が絶対条件と考えたのが、産業レベルの協議体の設置です。業界全体の経営のあり方にかかわる要求を実現するためには、各組合の交渉に加えて、産業レベルの交渉が決定的に重要と考えたからです。その実現に向け粘り強く取組みを進め、1974年3月に発足をみたのが、「雇用制度に関する労使協議会」です。

生保市場の成熟化を背景に保険行政が変化
激化する隣接業界との競争 -1980年代-

簡保限度額引上げ阻止に
向けた集会の様子

1980年代に入ると、日本経済は安定成長期に入り、生保市場も成熟化が進みました。こうした中、保険行政にも大きな変化が見られるようになりました。経営の効率化を促進する観点から、募集体制の合理化(販売チャネルの多様化)が指摘されはじめたのもこの頃です。80年1月からは、生保労連委員長が保険審議会の委員に就任し、働く者の立場から審議会の場で意見反映に努めてきました。

また、この時代は、簡保(当時)の度重なる新商品の認可申請・販売、各種共済による全国展開等、隣接業界の動きが活発になった時期でもありました。民間保険や営業職員に対する誹謗・中傷等の事例も組合員から再三寄せられる中、署名活動や国会請願、決起集会の開催等、組織を挙げて取組みを展開しました。

バブル崩壊 規制緩和・自由化の進行 
戦後初の経営破たんにより取り巻く環境が一変-1990年代-

窓販反対野音集会の様子

1990年代初頭のバブル崩壊により、日本経済全体が低迷する中、超低金利や株式市場の暴落等、生保経営をめぐる環境は大変厳しい状況に陥りました。97年には戦後初めて生保会社が経営破たんに陥るという、まさに生保産業が未曾有の危機状況下にありました。98春闘では「ベア要求を行わない」との苦渋の決断を下し、以降、2006春闘まで「現行水準の確保」という統一要求基準が続きます。一方で、90年代は、規制緩和・自由化の流れが一気に加速した時期でもあります。生損保相互参入や銀行窓販解禁、構成員契約ルールのあり方が議論されたのはまさにこの時期です。生保労連は「消費者保護」「公正な競争条件確保」の観点から取組みを展開し、銀行窓販については解禁商品を限定、構成員契約ルールについてはその存続がはかられ、今日に至っています。

相次ぐ経営破たん お客さまからの
信頼回復・向上が至上命題に-2000年代-

「絆フォーラム」の様子

2000年代に入っても、経営破たんや更生特例法の適用申請が相次ぐ等、生保産業の信頼が大きく揺らぐとともに、多くの仲間の雇用が危ぶまれる状況にありました。こうした事態に対し、生保労連は当該組合と連携をはかりながら組合員の雇用・労働債権の確保に向け最大限の支援と行動を展開しました。2005年初には、保険金・給付金等に関する支払い問題が顕在化し、社会・お客さまからの信頼が大きく揺らぎました。生保事業の信頼回復(向上)が産業労使共通の最重要課題となる中、連合や支援議員、消費者団体等に正しい理解を求める活動や、労使協議会を通じた生命保険協会との協議・連携、組合員宛の委員長メッセージの発信等、すべての運動のベクトルを信頼回復に集中させて取組みを展開しました。

未曽有の被害をもたらした東日本大震災 
働く者をめぐる環境も大きく変化-2010年代-

雇用問題研究会の様子

2011年3月11日、未曽有の被害をもたらした東日本大震災が発生しました。生保労連は直ちに災害対策本部を設置し、被害状況や営業活動に関する特別措置等について全組合で共有をはかるとともに、連合を通じて現地にボランティアを派遣し、被災地の復旧に取り組みました。また、自らも被災者でありながら、懸命にお客さまの安否確認等に奔走する組合員のみなさんの姿を、広く社会に向けて伝えてきました。2010年代に入ると、働く者をめぐる環境も大きく変化し、「働き方改革」が社会全体の重要テーマとなります。2017年12月に生命保険協会との間で採択した「働き方改革に向けた生保産業労使共同宣言」には、生保産業が「人」を中心に、今後さらなる役割発揮をしていくという、労使の強い想いが込められています。

これらの取組み以外にも、生保関連税制の拡充や総合生活改善闘争の確立・強化等、産業別労働組合ならではの運動を展開してきました。

生保労連は引き続き、生保産業の発展とそこで働くみなさんが安心と働きがいのもてる環境を整備すべく、各組合とともに取り組んでいきます。